Marc Deneyer マルク・デネイエール

Publié le par alliance francaise sapporo

 

 

06/06/2006 ~ 01/07/2006

 

ある日、アイスランドの話しを聞いた。しかし、その風景に負けず壮大と思われる暑さ寒さの厳しさに興味はわかず、氷山に思いを馳せた。氷は、雲に似て、しかし、より捉えやすく、存在感があり、束の間で消えてしまうことなく、かつ白と灰色の美しいニュアンスを与えてくれるに違いないと。

水夫の足をもたない身としては、氷山一つに出くわすために何日も長時間船に乗ることなく、多くの氷山を発見することができる場所を地上に見つける必要があった。グリーンランドそして、とりわけイルリサットが、すぐに必要不可欠の場所となった。甚大な危険を冒すことになったとしても、膨大な数の氷山に簡単に近づくことのできる場所。実際、イルリサットのフィヨルド、北半球で最も活発な氷河は、毎日40メートルほどが大洋に流れ出て、数キロにおよぶ沿岸一帯で巨大な氷山を生み出している。その河口は、断崖絶壁となっており、最も大きい氷山を抱え、フィヨルドの奥から大海へと押し出てくる巨大な氷塊は海からのアクセスを妨げている。

 

私は、1994年6月にイルリサットに立った。夏の初め。そこでは、氷が解け、砕け、崩壊し、事故が最も多発するという。イヌイットは、私たちがやってのけられるような危険を恐れることはない。危険は恐れを引き起こすというより、殆どゲームに近い。天候が許せば(西風が最大の敵の一つ)、小船(長さ4~5m)に乗り、イヌイットの猟師とともに海へと漕ぎ出ていった。身振り手振り以外にコミュニケーション手段はない。我々は、見つけるがままに氷山の間をぬって進んだ。夜はない。1日24時間ずっと明るい。無理にでも眠ろうとしない限り、疲労困憊するのは確かだ。自分のリズムをつかむのが難しい。

作家略歴

マルク・デネイエール、1945年ブリュッセル生まれ。現在はポワトゥー在住。著名な写真家であり、実際の旅行をもとに(グリーンランドからトスカーナ、モロッコからスコットランド、そして日本では、2001年ヴィラ九条山のレジデント...)、澄んだ光と古くから知られる場所に関する探究を写真と文章で語る。1984年以降、欧州各地及び欧州域外(ナポリ・フランス学院、ロンドン・フォトグラフアーズ・ギャラリー、ツールーズ・シャトー・ドー・ギャラリー、パリ・ギャラリー・カメラ・オブスクーラ、東京日仏学院等)で数多くの写真展を開催。

 

 

 

 

展覧会の写真は、カーボン色素印画による。

 

 

 

 

 

Pour être informé des derniers articles, inscrivez vous :
Commenter cet article