写真コンクール審査結果

Publié le par alliance francaise sapporo

Prix Daguerre  第1位 ダゲール賞:竹本英樹『札幌2007』

Prix Lumière 第2位 リュミエール賞:フランク・ゴールドブロン『Le crabe』

Prix Nadar 第3位 ナダール賞:小松友里子『UNDO』

Prix du Public 大衆賞:高橋文代『時空通路』

 

まず「異なるもの奇異なるもの」というテーマに着目し、
このテーマを用いた理由を私なりに考えました。
アリアンス・フランセーズのギャラリースペースでは、
過去多くの展覧会を行っていますが、中でも写真展の多さに気づきます。
つまり、写真作品に対しては、館長含め、スタッフの方々も
かなりのおもむきをおいていると考えられます。

今回のテーマで感じたのは、おそらく新しい写真の芸術性の追求であり、
よくある写真コンペの3大特徴、
美しい風景、またモノクロでの廃墟や工場、ヌード。
つまり、かっこいいアングル、少々極端なコントラストなど、
いわゆるプロっぽい写真が集まるコンペにはしたくないという意図が見え隠れしたように思えたのです。
できれば、先進的、実験的な芸術写真によるコンペでありたいと願い
「異なるもの奇異なるもの」という特異なテーマ(言葉)を選んだのだと私は考えました。
今述べたことを念頭として審査にあたり、
今回3点の優秀作品が選ばれたわけです。
この3点に共通するものは従来の上手く見えるプロっぽい作品とは違うという点です。

まず1位の「札幌2007」は、ありふれた親子の写る風景、構図なども特別かっこいいわけではないですし、
モチーフも親子ということで、どこでも見られる光景です。
そのなんの変哲もない風景を、フィルム現像でいう減感みたいな処理を行い
まるで点描絵画のように粗い粒子とさせ、またあえてフォーカスを外すといった行為で
写真そのものが、良い意味で自己完結を否定するかのように、
あいまいな雰囲気だけの風景となっています。
これは見る側に考える余地や更なるイメージの想起を促す新しい表現と言えるでしょう。
2位になった「Le crabe」は、合成写真という特別新しい方法論ではありませんが、
「ここまでやるか!」と思わせるバカバカしく突拍子もない作風は、
ダイレクトに今回のテーマと一致しています。
通常、作品コンペでは、テーマから多少外した視点で作品を考え、
その意外性を売りにする作家も多いのですが、
Le crabe」は、変化球を一切使わず、直球で挑んだ作品です。
しかも写真自体の完成度も高く、合成写真とは思えないほどの技術にも驚くと同時に
日本ではあまり見ることのできないユーモアを主体としている作風にも感心させられました。
3位の「UNDO」は、今回の作品群の中で唯一、私が何を表現しているのかが、
わからない作品です。逆に捉えれば、わからないので注目した作品でもあります。
フォーカスもどこに合わせているのか?あえて合わせていないのか?
作品コンセプトがあるのか?ないのか?具体的には、場所はどこなのか?
日本なのか?ヨーロッパなのか?
中央に菊の花のようなものがあり、後ろには編み目のオブジェ?
開いたドアから中を撮ったのか?小窓から中を撮ったのか?
謎だらけの写真です。しかし謎解きの作品でもなさそうです。
おそらく、かすかにフォーカスが当てられている菊の花や後ろの編み目の物体には
モチーフとしてのコンセプトは無く、写真全体の雰囲気や撮影時の「時」を
記憶しておきたかったのではないでしょうか。
従来の写真の場合、写されたモチーフや構図、またはプリント処理などに
作家の意図が見え隠れするのですが、この作品の場合はどれにも当てはまらない印象があり、
言い意味で、ここまで不明瞭な写真作品は滅多にありません。
強いて独断で言わせていただくなら、新表現主義的な作品とでも言っておきましょう。

美術家/アートディレクター 端 聡

 

 

 

みなさん、こんばんは。
アートディレクターでグラフィックデザイナーの前田弘志です。
今日は出張のため、授賞式に出席できず、ごめんなさい。
かわりと言っては何ですが、コメントをアリアンスの方に
代読してもらおうと思いますので、どうかご勘弁を。

さて、全体的な印象から言いますと、
どの作品もレベルが高く、どの作品も賞に値するもので、
楽しく拝見しました。

僕はデザイナーという職業柄、日々、フォトグラファーの方々と
コラボレーションしているのですが、
その立場で写真と接するときにもっとも重視するのが、
「テーマに対する明快性」と「メッセージ性」です。

そんな僕なりの視点で、気になった作品を3つあげさせていただくと、
小松友里子さんの「UNDO」、黒瀬ミチオさんの「記憶1」、
そして、伊藤也寸志さんの「incomplete」です。

小松さんの「UNDO」は、
「やりすぎ」というぐらい、「奇異さ」が明快です。
真ん中の花は、どんなメッセージを語ろうとしているのでしょうか、
それも気になるところです。

黒瀬さんの「記憶」は、
中心の小さな5角形の光だけに「真実」がありそうな、
メッセージ性を感じました。
よく見たくて写真に顔を近づけて覗き込んでいくと、その小さな光の中に
吸い込まれていきそうになりました。
ただ、黒瀬さんはプロの方なので、デザイナーの立場から
あえてひとつだけ言わせていただくと
水平垂直、シンメトリーの構図はちょっとだけ疑問。
別角度・別アングルの、B案・C案はありますか?(笑)

伊藤さんの「incomplete」は、
この課題テーマに対して、
ありがちなモチーフを、ありがちなタッチとトーンで、
しかも、ありがちなモノクロプリントじゃないですか。
ここまで真っすぐというのは、なかなかできることではありません。
もう、その潔さに、誰が何と言おうと、僕は1票です。

その他にも、まだまだ気になる作品がたくさんありました。
今日、この場で、出品者のみなさんと直接お話ししたり、
聞きたいこともたくさんあったのですが、
出席できず、本当に残念です。

ともあれ、みなさん、
ステキな作品を見せていただき、ありがとうございました。
そして、受賞者のみなさん、おめでとうございます。


前田弘志

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